2006年09月17日

地獄の訓練・3

地獄というからには、かなり苦しくて厳しいものと想像はしていたが、内容はそれ以上であった。
 
訓練自体は、「読むこと」「書くこと」「話すこと」という基本的な事項であるが、これをキチンと行うことの難しさを実感した。訓練開始三日目あたりから、訓練ごとの試験が始まるが、これにより挫折感を味わったり、プレッシャーを受けたり、何をやったらいいのかわからなくなり、正に地獄の底を這い回る状況となる。
 
試験は、特別な部屋があるわけではなく、試験官が巡回しながら適宜行われるが、訓練項目により試験官が変わる。我々の場合は、若い女性達であった。100点満点で60点合格ということであるが、ほとんどの試験で最初は、2点とか3点という結果である。もちろん不合格であり、改めてチャレンジすることになり、合格するまで訓練と試験が繰り返されるのである。
 
ほとんどの訓練生が精神的に追い詰められるのはこの採点である。それぞれの会社で課長とか部長をやっている人が、大きな声を張り上げて試験に挑み、若い試験官から無表情に「6点不合格!」といわれる。どこがどう悪いのか一切コメントはなく、仕方なく教官の指導により訓練に励む。
 
こんな状況であるので、「脱走」するものも出てくる。教官は特にひき止めようとはしなかった。私の同期においても数人の脱走者が出たとの事であったが、彼らのほとんどは会社を退職したという。
 
「何故これまでして」、とか、「審査基準が曖昧だ」、と思ったのはほぼ全員である。
後に聞いた話で納得はいったが、そのときは必死であった。
 
「管理者をピカピカにする」とは、今身につけているいろんな知恵や意識を、一旦ゼロにし、基本動作や基礎能力を身をもって植え付ける、という事である。従って、本人の訓練への取り組み姿勢が最も重視されるのである。いうなれば、、先ず裸になり、一所懸命に取り組む姿に点数がもらえるということである。一律的な審査基準ではなく、本人の「変化率」こそが採点対象なのである。
 
ところが、これがなかなかできないのである。
3点、5点から10点とか15点の点数がもらえるときがある。点数の上がることは一つの励みとなり、60点合格まで無心に取り組むようになる。振り返ってみるに、どうやらこのあたりが「裸になった」頃だといえる。考えてみれば、人生の中で、あれだけ無心になれたのはあの時だけだったかもしれない。
これも後日談なれど、試験官は「心理学の専門家」であったようだ。
 
つづく
 
posted by 伊藤保徳 at 16:06| Comment(0) | 人づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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