2009年02月16日

論語考E

石平氏の著書『論語道場』(致知出版社)は、著者と論語に造詣が深い八人との対談集である。
八人はそれぞれ、論語の中で、「好きな言葉」とか「若者に贈りたい言葉」を述べている。

対談の一番最初は、大正生まれの儒学の大家として有名な伊與田氏であるが、月刊誌「致知」にもよく登場される人物である。

氏が、これからの若者達に贈りたい言葉としてあげているのが、《一を以て之を貫く》である。
質問に答えて、
《「一以て之を貫く」ですね。一番中心となるのは「一」、その「いち」とは孔子でいえば、すなわち「仁」ですね。

「仁」というものが、一番根本になって、そこからいろいろ人間関係も生まれてくるのですから。ですから、「仁の心」というものをお互いに深め合っていけば、自ずから相通ずるのです。

世の中に経済制度や社会制度などいろいろなシステムがありますが、その根底にある一貫した哲学や理念がないとだめですね。外部的な生き方も大切ですが、やはり根底的なところでの精神的一貫性がないと人間が成り立ちません。

だからどこの人間社会でも、うまく掘り下げていけば、必ずその根底の部分が見つかるのですね。やはりそこを目指していくべきで、一時の対立などに一喜一憂をせず、「わが道は一を以て之を貫く」べきです。》(P31〜32より抜粋)


「一を以って之を貫く」、その一とは「仁」なり、ということであるが、しからば「仁」とは、ということになる。
論語五十八章の中に、「仁」は百五回出てくるとのこと。それだけ重要な言葉であるが、「仁」は基本中の基本であることが理解できる。

「仁」についてわかりやすい説明がある。(『論語』安岡定子著、田部井文雄監修、日本能率協会マネジメントセンター刊)
「仁」とは「思いやり」と解釈をするが、人格者を「仁者」ということがある。この場合は「八つの徳目」を備えた人の事を指しているようである。従って、「仁」には、スモール「仁」と、ラージ「仁」があるという説明である。(この説明にはとても納得した。)

参考までに八つの徳目とは、「仁」(思いやり)、「義」(正義)、「礼」(礼節)、「智」(知恵)、忠(まごころ)、「信」(信頼)、「孝」(親孝行)、「悌」(長幼の序)、である。


伊與田氏の勧める言葉、「一を以って之を貫く」とは、「基本の大切さ」を説いており、人として生きていくための「根本精神」は、常に「相手を思いやる心」であるといういうこと。

人は一人では生きてはいけない。人間関係はもとより、広く自然界の万物との関係性の中で「生かされている」といえる。
こうした思いは最近になって強く感じるようになった。

「相手を思いやる心」、それは感謝の気持ちであり、全てが学びの対象であると思えるのである。

改めて思う。「論語」は生き方の指導書であるということを。


posted by 伊藤保徳 at 07:25| Comment(0) | 人づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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