2008年07月12日

里山の復活

雑誌「家の光」(JAグループ・家の光協会発行)の8月号に、「里山復活大作戦」という特集があり、興味深く読んだ。

各地の荒れてしまった里山を、ボランティア活動などで復活させようという試みが紹介されている。
「里山」といえば、愛知万博が愛知県瀬戸市に決まった時、会場予定地とされた「海上の森」について、多くの議論をしたことを思い出す。

2000年の5月、出張先のニューヨークに電話があった。
瀬戸市の博覧会所轄部署からの電話は、会場のことで「愛知万博検討会議」が行われることになり、市民代表として会議に出席してほしいとの依頼であった。

詳しいことは帰国後に説明を受けることとし、会議に出ることは承知をした。

その時の説明では、予定していた「海上の森」で、「オオタカ」の営巣がみつかり、自然保護団体や野鳥の会などが開催反対の声を上げているとのこと。
この博覧会は、「環境博」との冠もついていることもあり、愛知県としても反対意見を無視することはできず、「検討会議」で話し合うことになった。

第1回は5月28日に開催され、その様子をリアルタイムでインターネット配信するという、規模の大きな会議になった。開始から混乱を極めたのは、傍聴席から反対派の人たちによる野次などがあったり、主宰者が予定していた「議長」に対して議長立候補者が出たりしたからである。

従って第一回は、議長の選出だけで2時間を費やす始末となった。
結果は、主宰者が意図しない人が議長となった。(その人は現在、参議院議員である)

会議の混乱はあったが、「会場の森」賛成派の我々の主張は、「里山」を含めた会場建設であった。しかし、奮闘むなしくそこでの開催はなく、愛知青少年公園を中心とした会場となり、2005年の開会となった。


こうしたこともあり、「里山」と聞くと、日本の原風景とか日本人としての心の故郷ということが思い浮かぶのである。

「家の光」の特集に戻ろう。
まずは特集の意図である。
《長い間、人が自然に深くかかわってつくりあげてきた里山。人々は山を切り開いての農地をつくり、食料を生産し、薪や建材なども入れながら、たくさんの生き物が生息できる共生の場を守ってきました。日本人の原風景をなし、心の豊かさや知恵も育んできた里山が、過疎化などのが原因で、各地で崩壊の危機にさらされています。

里山の復活は一人ではできません。いろいろな人を巻き込んで、復活の第一歩を踏み出してみませんか。》

この後各地での取り組み紹介があるが、その前に、「国家の品格」の著者である、藤原先生(お茶の水女子大学教授)が一文をよせている。
先生は、今の日本が様々なところで荒廃が進んでいるのは、「日本人が祖国に対する誇りや自信を失ったことが真因」であり、それを食い止めるには、「国家の品格」を取り戻すことが必要だと指摘されている。

そして、その中で最も重要な課題が、『里山をはじめとする美しい田園や自然の復活・維持である』、との主張である。
その理由として、「独立国として食料の自給は欠かせない」ことと、「美しい田園や自然は、美的感受性の源泉」であることを上げている。

経済や効率優先社会にあって、共に失われつつあることである。


自宅の周りも、私が子どもの頃は田園風景が広がっていた。しかし、高度経済成長と共に、農業従事者が減少、今は住宅地となってしまった。

そこに住む人、そしてそれを眺める人、思いはそれぞれであるが、どこかで「共感」しないと住宅化などの流れは止められない。

何とか、これ以上の荒廃(あるいは開発)は止めたいものである。

持ちつ持たれつの精神で、地域全体のデザインが必要だと思う。
posted by 伊藤保徳 at 07:34| Comment(0) | 街づくり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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