2008年06月15日

公益資本主義

私が社会人大学院に入ったのは1997年であるが、勉強を始めて以来気になっているのが「日本型コーポレートガバナンス」である。

当時、この問題は大きく取り上げられ、「会社はだれのものか?」という基本問題から、企業の統治は誰が何の為に行うか、ということについて議論がされた。
関係する論文も沢山読んだが、なかなか答えは見つからなかったが、全体の流れとして、「日本企業は株主を軽視している。今後は株主重視の経営を・・・」というものであった。

私なりに研究し、修士論文にまとめたが、株主をあまり意識しない経営の現実を踏まえ、原因を「日本的な経営」を見つめなおし、欧米から批判されている閉鎖的な経営をどうするべきか、という点について論じた。

論文では、結論ではなく課題を明らかにするだけに止まったが、その後も問題意識として持ち続けている。


私の描いている「あるべき姿」と、ほぼ同じの主張を雑誌で見つけたので紹介したい。
それは、「WEDGE」6月号の、「羅針盤」欄と「羅針盤特別対談」で、原丈人氏(財務省参与・首相諮問機関政府税制調査会、特別委員・デフタ、パートナーズグループ会長)が語っている。

サブプライム問題についての原因と対策案を述べつつ、米国型の資本主義の批判が展開されている。その中で、目指す方向性も示唆している。

サブプライム問題は、《人々を幸せにするために生まれた株式会社の原点、資本主義の原点を完全に見失い、金融資本主義に洗脳されてしまっている。》という指摘である。

そして、日本から新たな資本主義のルールを提起するべきだという主張である。
《従って、新しい理論経済学と新しい資本主義、すなわち会社は社会の公器であろという「公益資本主義」を日本から発信していく必要があるのだ。

そのためにも、「会社は株主のもの」という考え方を否定し、現在、主流派とされている理論経済学(者)を屈服させるだけの理論武装をしなければならない。

私は、これを論証していく仕組みをつくる研究部門をアライアンス・フォーラム財団の中につくり、他の財団や大学とも協力し、米国と日本のトップクラスの人材を集め、今後数年かけて、公益資本主義の理論体系を構築していく。

そして、公益資本主義の原理を、世界中に広め、同時に私が経営に関与する企業群から率先して実行していく。》

もっとも共感するのは、「会社は株主だけのものではない」、という点である。
《会社は株主だけのものではなく、従業員、顧客、地域社会など幅広いステークホルダー(利害関係者)のものであり、それら全てに貢献する社会の公器であるといった考え方です。》と述べている。

こうした企業(会社)観は、日本ならではのものであると考えているが、これをグローバルスタンダードにするべきだと私も思う。


経営のあり方について、我社の歴史を見るとき、「企業は人なり」、「企業は公器なり」ということが根底に流れている。
社員を最重要資源として育成し、その力を存分に発揮してもらうことが「企業は人なり」であり、事業を進めるに当たり、その仕事を通じて社会に貢献するという仕事への取り組み方(心がまえ)こそが、「企業は公器なり」という考え方なのである。

このことが徹底されていないことは問題ではあるが、進むべき方向は間違ってはいないと思っている。


posted by 伊藤保徳 at 06:28| Comment(0) | 経営に関して | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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